2026/06/25 学部・学科

【臨床心理専攻】「信頼関係」を絵にすると?

3年生の専門科目「遊戯・芸術療法」で描画療法を体験しました

心理学科 臨床心理専攻の3年生科目「遊戯・芸術療法」では、遊びや表現を通して人を理解し、支援につながる関係をつくる心理臨床の方法について学んでいます。今回の授業テーマは「関係づくりのための描画療法」。学生たちは、言葉では説明しにくいイメージを、色や形を使って表現するワークに取り組みました。

描いた絵を見せ合いながら、感じたことや考えたことを共有しました。

絵を手がかりに、相手との関係を考える

授業ではまず、「描画テスト」と「描画療法」の違いを確認しました。
絵を用いる心理学的な方法には、その人を理解するための手がかりとして使う側面があります。一方で、描画療法では、絵を描く過程や描いた後の話し合いを通して、その人との関係を育てていくことも大切にします。
今回の授業で重視したのは、「うまい絵を描くこと」ではありません。自分のなかにある感じやイメージを、無理に言葉にしようとせず、まず色や形として表してみること。そして、他の人の表現に触れながら、一人ひとりの感じ方の違いに気づくことです。

言葉にしにくいものを、色や形で表す

ウォーミングアップでは、「うれしかった」という体験を色や形で表すワークを行いました。
「うれしい」と一言で言っても、あたたかい感じ、楽しい感じ、安心する感じなど、その中身は人によって違います。
心理臨床の場面でも、気持ちを言葉で説明することが難しい場合があります。だからこそ、絵や遊びなど、言葉以外の表現が、人と人とをつなぐ手がかりになることがあります。

色を重ねながら、イメージを形にしていきます。
テーマから思い浮かんだイメージを、色や形で表現しました。

今回のワーク:「信頼関係」を絵にする

本番のワークでは、「信頼関係」を色や形で表しました。
授業では、「信頼関係」とは何かを言葉で説明するだけでなく、それぞれが思い浮かべるイメージを描きました。
ある学生は、あたたかく包み込むような形で表現しました。別の学生は、複数の色がつながる形で表しました。また、線や点、重なり、距離感を使って、「近づく」「支える」「つながる」「守られる」といったイメージを表す学生もいました。

ワーク後のディスカッションの様子。自分の「信頼関係」のイメージを話し合いました。

同じテーマでも、表現は一人ひとり違う

ワーク後には、描いた絵をもとにシェアリングを行いました。そこで学生たちは、同じ「信頼関係」というテーマであっても、人によって思い浮かべる色や形、距離感が大きく異なることに気づきました。
これは、心理臨床を学ぶうえでとても大切な視点です。支援する側が「信頼関係とはこういうものだ」と決めつけてしまうと、相手の感じ方を見落としてしまうかもしれません。相手にとっての安心、距離、つながり、関係のあり方を丁寧に考えることが、関係づくりの第一歩になります。

色や丸、重なりを使って、関係の広がりを表現しています。
手を取り合うようなイメージが描かれた作品。
それぞれの学生が描いた「信頼関係」のイメージ。
星がつながっている表現や線で構成された表現も見られました。

心理学を、体験しながら学ぶ

「遊戯・芸術療法」では、心理療法について知識として学ぶだけでなく、学生自身が体験し、感じ、考えることを大切にしています。
実際に描いてみると、表現することの難しさや緊張感にも気づきます。同時に、絵を通して話すことで、言葉だけでは伝わりにくいものが共有されることもあります。
学生たちは今回のワークを通して、「人によって表現は違うこと」「相手は自分とは異なるイメージを抱いているかもしれないこと」「関係づくりでは、その違いを大切にする必要があること」を学びました。

高校生・保護者のみなさまへ
心理学科 臨床心理専攻では、人のこころを一方的に決めつけるのではなく、相手の表現や感じ方を尊重しながら理解しようとする姿勢を大切にしています。講義では、理論を学ぶだけでなく、今回のように実際に体験しながら考える授業も行っています。
「人と関わることに関心がある」「こころの支援について学びたい」「子どもや人の表現に関心がある」――そのような高校生にとって、遊戯・芸術療法は、心理学の面白さと奥深さに触れられる授業のひとつです。心理学を「知識」として学ぶだけでなく、実際に体験し、自分の感じ方や他者との違いを考えながら学べることも、本専攻の大きな特徴です。
今後も、心理学科 臨床心理専攻での学びの様子を紹介していきます。
※写真は、授業参加学生の許可を得て掲載しています。

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