2025/10/14 コラム
「国際教養って、英語をペラペラにする学科でしょ?」
もし君がそう思っているなら、それはこの学部・学科の魅力の半分も理解できていません。国際教養学科は、単なる語学のトレーニングジムではないのです。
この記事は、多くの高校生が抱く漠然としたイメージを払拭し、「国際教養」という学びの本質と、それが君の将来にどう繋がるのかを解き明かすための進路ガイドです。この記事を読めば、学部選びで「こんなはずじゃなかった…」と後悔する可能性を、限りなくゼロにできるはずです。
まず結論から言うと、「国際教養」とはリベラルアーツ(Liberal Arts)という考え方を、日本の大学に合わせて発展させたものです。
リベラルアーツとは、特定の専門分野(例えば法律や経済)だけに偏らず、人文科学(歴史・哲学など)、社会科学(政治・社会学など)、時には自然科学(数学・物理など)まで、学問の垣根を越えて幅広く学ぶことで、物事を多角的に捉える「思考のOS」そのものを鍛える教育のことです。
元々は古代ギリシャで「自由な市民が身につけるべき技芸(学問)」とされていた、歴史ある学問分野です。
この学習において、英語は目的ではありません。あくまで世界中の知識にアクセスし、多様な人々と議論するための「ツール(道具)」です。国際教養の本質は、語学力の上にある、物事をクリティカルシンキングし、主体的に行動できる人材を育てることにあります。
クリティカルシンキングとは、日本語で「批判的思考」と訳されますが、単に人の意見を否定することではありません。「本当にそうなのかな?」「なぜだろう?」と当たり前を疑い、情報をうのみにせず、自分で深く考えて本質を見抜く力のことです。
国際教養学科では、「思考のOS」を鍛えるために、非常に多彩な学問分野の入り口が用意されています。大学によって特色はありますが、主に以下のような分野を横断的に学びます。
これらの多様な学問を通じて基礎を固め、国際社会が抱える一つの課題に対し、歴史的、経済的、文化的、政治的な視点から複合的に分析し、解決策を考える力を養っていきます。
例えば、札幌国際大学の国際教養学科では、学生が興味に応じて専門性を深められるよう、特徴的な3つのコースを設置しています。
新しい学部だからこそ、多くの高校生が不安を感じています。ここでは、よくある3つの疑問に正直に答えます。
他の文系学部と比べて、テストの点数を取ること自体が特別に難しいわけではありません。しかし、学びの「質」が異なります。国際教養学科では、ただ知識を暗記するのではなく、常に「なぜ?」と問い、自分の意見を求められます。
レポートやプレゼンテーション、ディスカッションが非常に多いため、受け身の姿勢では難しいと感じるでしょう。逆に、知的好奇心が旺盛な学生にとっては、これ以上なくエキサイティングな環境です。
入学時点でネイティブ並みの英語力が必要なわけではありません。大切なのは、「英語を使って何かを学びたい」という強い意欲です。
多くの大学では、学生の英語力を引き上げるためのプログラムが充実しています。
例えば札幌国際大学では、1年次に短期留学を経験することで、語学を学ぶモチベーションを高めるカリキュラムになっています。その環境に飛び込む勇気と、失敗を恐れずに発言する積極性があれば、語学力は後から必ずついてきます。
これは、学生自身の取り組み次第で「真実にも嘘にもなります」。専門分野が明確でないため、「私には専門がありません」と答えてしまえば、就職活動では苦戦します。
しかし、「私は、歴史的視点と経済的視点を組み合わせて現代の国際問題を分析し、それを英語でプレゼンテーションする訓練を積んできました」のように、自分が何をどう学んできたかを自分の言葉で語れる学生は、「特定の専門知識を持つ学生」以上に高く評価されるケースが多々あります。変化の激しい現代社会では、柔軟な思考力と発信力を持つ人材が、あらゆる企業で求められているからです。
国際教養学科での学びを最大限に活かせるのは、次のような思考を持つ人です。
よく比較される2つの学部との違いを、分かりやすく解説します。
国際関係学部が、国際社会という特定のフィールドを深く掘り下げる「専門性の高いドリル」だとすれば、国際教養学科は、様々な問題に対応できる「万能のツールボックス」のようなものです。国際関係学部は政治や経済の専門家を目指すのに適しており、国際教養学科はより幅広い分野で活躍できる柔軟な思考力を身につけるのに適しています。
これは最も重要な違いです。外国語学部にとって、特定の言語(英語など)の習得は「目的地」です。言語そのものの仕組みや、その言語が使われる地域の文化・文学を深く学びます。一方、国際教養学科にとって、言語は世界を知るための「乗り物」に過ぎません。その乗り物を使って、世界中の様々な場所(学問分野)へ旅に出るのが、国際教養学科の学びです。
国際教養学科では、幅広い学びを通じて、多様な資格取得やキャリアを目指すことが可能です。
ここまで読んで、国際教養学科が単なる「国際的な学科」や「英語の学科」ではない、非常にユニークでチャレンジングな学びの場であることが理解できたと思います。
この学科で得られる最大の資産は、知識の量ではなく、世界を複眼的に見る「視点」と、答えのない問いに立ち向かう「思考体力」です。もし君が、ただ大学から与えられるものを受け取るだけでなく、自ら問いを立て、学びをデザインし、自分だけの専門性を築き上げていきたいと考えるなら、国際教養学科は最高の環境になるでしょう。
あなたの進路選択が、未来の可能性を最大限に広げるものになることを、心から応援しています。