2025/10/17 コラム

公認心理師との違いを徹底比較【高校生向け進路ガイド】

この記事について

「人の心に寄り添う仕事がしたい」「心理学を専門的に学び、誰かの役に立ちたい」
そんな純粋な想いを抱いているあなたへ。テレビや本で「臨床心理士」という職業を知り、憧れを抱いているかもしれません。しかし、どうすればなれるのか、最近よく聞く「公認心理師」とは何が違うのか、具体的な進路を考える上では分からないことも多いはずです。
この記事は、心理学の専門家を目指すあなたのための進路ガイドです。札幌国際大学心理学科が、臨床心理士という仕事の本当の姿、資格を取得するための確かな道のり、そして未来のキャリアまで、丁寧に解説します。あなたの疑問を解消し、夢への第一歩を力強く後押しします。

目次

最初に知ってほしい「臨床心理士」と「国家資格」の関係

最初に、多くの人が疑問に思うこの点からお答えします。
結論として、臨床心理士は国が法律で定めた「国家資格」では、ありません。
内閣府の認可を受けた公益財団法人が認定する、長い歴史と社会的な信頼を誇る「民間資格」です。
「民間資格」と聞いて、少し驚いたかもしれませんね。でも、安心してください。1988年に誕生した臨床心理士は、心理職の専門資格として30年以上にわたり社会の信頼を築き上げてきました。今でも多くの医療機関や教育現場で、採用条件として臨床心理士資格が重視されています。
そして、2017年にもう一つの重要な資格が誕生しました。それが、心理職で初となる国家資格「公認心理師」です。
この二つの資格の違いを正しく理解することが、心理学を学ぶあなたの進路を考える上で、非常に重要な鍵となります。

【徹底比較】臨床心理士 vs 国家資格・公認心理師はどこが違うの?

二つの資格は、どちらも「心の問題を抱える人々を支援する専門家」という点で共通しています。しかし、その成り立ちや求められる専門性に違いがあります。まずは、この比較表で全体像を掴んでください。

比較項目 臨床心理士 公認心理師
資格の種類
民間資格
国家資格
根拠となる法律
なし
公認心理師法
資格の更新
必要(5年ごと)
不要
主な受験資格
指定大学院(修士課程)の修了
大学と大学院で指定科目を修了
試験の内容
・筆記試験(多肢選択・論文記述)
・面接試験
・筆記試験(多肢選択のみ)
特徴
長い歴史と実績がある。心理療法など深い臨床実践力が問われ、面接試験や資格更新を通じて、専門家としての質が担保される。
心理職初の国家資格。医療・福祉・教育など幅広い分野での多職種連携を重視し、国民全体の心の健康を支える役割が期待される。

この表から、それぞれの資格が持つ個性が分かります。

臨床心理士は、記述式の論文試験や対面での面接試験が課されることからも分かるように、一人ひとりの相談者と深く向き合うためのカウンセリング技術や専門家としての人間性が厳しく問われます。また、5年ごとの資格更新があるため、常に最新の知識や技術を学び続ける姿勢が求められます。

一方、公認心理師は国家資格としての社会的な認知度があり、より幅広い分野で活躍することが期待されています。
現在の心理臨床の現場では、両方の資格を持つ「ダブルライセンス」の専門家が増えており、それぞれの資格の強みを活かして活躍しています。

臨床心理士の仕事とは? カウンセリングだけではない専門家の世界

臨床心理士の仕事は、カウンセリングルームで話を聞くだけではありません。その専門性を活かして、多岐にわたる活動を行います。臨床心理査定(心理アセスメント)
知能検査や性格検査といった専門的な手法を用いて、相談者がどんな特性を持ち、どんなことに困っているのかを客観的に理解します。これは、適切な支援方針を立てるための「心の地図」を作るような、非常に重要な仕事です。

  1. 臨床心理面接(カウンセリング)
    相談者との対話を通して、心の悩みや問題を整理し、その人自身の力で乗り越えていけるようにサポートします。様な心理療法(サイコセラピー)の理論と技術を学び、一人ひとりに合った方法で関わっていきます。
  2. 地域援助と連携
    学校や保健所、福祉施設など、地域の様々な機関と協力し、心の健康に関する講演会を開いたり、地域全体で人々を支える仕組み作りに貢献したりします。
  3. 研究活動
    臨床現場での経験をもとに、より効果的な支援方法を探求するのも大切な仕事です。大学などの研究機関で、心のメカニズムを解き明かす研究者の道もあります。

主な活躍の場は、医療・教育・福祉など、社会のあらゆる場所に広がっています。

臨床心理士になるためのルート【高校生の君が今から知るべきこと】

ここが、あなたの進路選択で最も重要なポイントです。臨床心理士になるためには、どのような道のりを歩む必要があるのでしょうか。
結論として、臨床心理士になる最も一般的なルートは「大学の学部を卒業後、指定された大学院の修士課程を修了する」ことです。

  • ステップ1:大学で心理学の土台を築く

まず、4年制大学で心理学を学びます。こころの働きや仕組み、心理学の研究方法といった専門知識の基礎を身に付け、人のこころを理解し、援助するための視点を養います。

  • ステップ2:大学院で専門性と実践力を磨く

大学卒業後、「臨床心理士指定大学院」に進学し、2年間の修士課程を修了する必要があります。この大学院での高度な専門知識の学習と、実際の現場での実習経験が、臨床心理士になるための必須条件です。

つまり、高校生のあなたが今考えるべきは、「どの大学で心理学を学び、そしてどの大学院を目指すか」ということです。

札幌国際大学で拓く、心理学の道

札幌国際大学では、この二つのステップをしっかりと見据えた学びを提供しています。
本学の心理学科臨床心理専攻では、心理職の国家資格である「公認心理師」の受験資格取得に対応したカリキュラムを整えています。心理職として初の国家資格である「公認心理師法」の施行を受け、札幌国際大学心理学科臨床心理専攻および大学院心理学研究科では、公認心理師の受験資格を得るために必要な基準を満たしていることを文部科学省及び厚生労働省に承認を受けています。

この国から認められた教育体制のもと、4年間、心理学の理論と実践を深く学ぶことで、次のステップである大学院進学への強固な土台を築くことができます。
さらに、本学には公認心理師と臨床心理士の両方の受験資格に対応した大学院(心理学研究科)も設置されており、学部から大学院まで一貫した環境で専門性を高めていくことが可能です。
また、本学の特色として、北海道で唯一「園芸療法士」の資格が取得できるプログラムもあります。大学構内のガーデンで実際に植物を育て、自然とのふれあいを通して心を癒すアプローチを学ぶことは、あなたの支援の引き出しを増やし、将来の可能性を大きく広げてくれるでしょう。

臨床心理士のやりがいと多様な働き方

臨床心理士という専門職は、一つの決まった働き方だけではありません。自分のライフステージや興味に合わせて、多様なキャリアを築けるのが大きな魅力です。

常勤職員として、組織の核となる

病院や公的機関、福祉施設などで正規職員として働くスタイルです。一つの組織に深く関わり、医師や看護師、ソーシャルワーカーといった他の専門家とチームを組んで支援にあたります。安定した環境でじっくりと経験を積むことができ、将来的にチームリーダーや管理職といった役割を担うこともあります。

非常勤職員として、専門性を活かし幅広く活躍する

スクールカウンセラーや企業の相談室などでは、週に数日勤務する非常勤の形態が多く見られます。この働き方の魅力は、柔軟性と専門性の両立です。例えば、「月曜と水曜はA中学校のスクールカウンセラー、金曜はBクリニックでカウンセリングを担当する」といったように、複数の勤務先を掛け持ちする臨床心理士は少なくありません。これにより、異なる領域(教育と医療など)での経験を同時に積むことができ、専門家として視野を広げ続けることができます。

どちらの働き方にも共通しているのは、その仕事がもたらす大きなやりがいです。誰かの人生の岐路に立ち会い、苦しみに寄り添い、その人自身が持つ回復力を信じて共に歩む経験は、何物にも代えがたい喜びと専門家としての成長をもたらしてくれます。札幌国際大学で学ぶ「対人援助技能」は、まさにこうした場面で活かされる力です。

無限の可能性が広がるキャリアパスと将来性

資格を取った後、どんな未来が待っているのでしょうか。臨床心理士のキャリアは一つではありません。

  1. 臨床のスペシャリスト
    病院や相談機関で臨床経験を積み重ね、特定の分野(例:子どもの発達、トラウマケアなど)の第一人者を目指します。
  2. 教育・研究者
    大学院の博士課程に進学し、大学教員や研究者として心理学の発展と後進の育成に貢献します。
  3. 地域貢献の担い手
    スクールカウンセラーや公務員心理職として、地域の子どもや住民の心の健康を支えます。
  4. 独立開業
    経験を積んだ後、自分の理想とするカウンセリングルームを開業し、一人の経営者として社会に貢献します。

現代社会は、変化が激しく、多くの人がストレスや悩みを抱えやすい時代です。心のケアの重要性はますます高まっており、専門知識を持つ臨床心理士の活躍の場は、今後さらに広がっていくでしょう。社会的な需要が非常に高く、将来性のある仕事だと言えます。

在学生・内定者の声:札幌国際大学で心理学を学ぶということ

理論や制度だけでなく、実際に札幌国際大学で学ぶ先輩たちがどのような経験をし、未来を切り拓いているのか、そのリアルな声をお届けします。

リアルな大学生活の声【在学生PICK UP!】

Nさん(人文学部 心理学科 臨床心理専攻 1年)
人間観察が好きな人には向いている学問かもしれません
受験が上手くいかない中、運命的に出会ったのが心理学科でした。
私は人の行動や気持ちに敏感なタイプで、以前から悩み相談をよく受けていました。まだ入学したてですがこの選択は間違っていなかったと感じています。
「心理学実験」では鏡映描写という実験をしたり、「ガーデニング演習」では他学部ともバーベキューをしたり。韓国文化研究会では留学生とも交流しています。
面白いと思える学問と学び舎を見つけられて、私はとてもラッキーです。
Fさん(人文学部 心理学科 臨床心理専攻 2年)
想像と違う、曖昧じゃない学問に惹かれ公認心理師を目指しています
心理テストが好きで調べてみると、どうやら想像と違う!
実は数学的で、曖昧じゃない学問であるところに惹かれました。
「学習・言語心理学」ではトラウマという症状やその解消方法を学んだり。2年次になって専門科目が増え、俄然面白くなってきました。
先日「心理学検定を受けようかな」とつぶやくと、即座に参考書を紹介してくださったり、どんなことにも親身になってくださる先生方がいらっしゃることも私たちの自慢です。

夢を掴んだ先輩からのメッセージ【内定者インタビュー】

Kさん(人文学部 心理学科 臨床心理専攻 4年/内定先:公益財団法人鉄道弘済会・児童養護施設札幌南藻園)
好きだけでは通用しない難しい仕事だからこそやりがいがある
心理学は高校生の私にとって未知の学問でしたが、オープンキャンパスに参加した際、私の興味がある福祉も学べると聞き、臨床心理専攻に進みました。
進路が明確になったのは、大学3年次にゼミで児童養護施設の存在を知り、見学に行ったときでした。
難しい家庭環境の子どもたちが共に暮らす大きな家で、彼らの自立を支える仕事にやりがいを感じたのです。
大学で2年間続けた不登校児へのボランティア活動も、これから役立つ経験になったと思います。心理学の多様な視点を持った私が施設で新しい力になれるよう、私自身、自分に期待しています。
Dさん(人文学部 心理学科 臨床心理専攻 4年/内定先:株式会社みずの)
相手の心ではなく自分の心をよく知り成長できるのが心理学
心理学を学べば相手の心がわかるようになるのでは、と想像して入学しましたが、心理学を学んでしみじみ思うのは、むしろ自分の心がわかるようになる学問ということ。学業と並行して、学生サポートセンターでは学生の相談にのる学生スタッフとして活動し、周りを支え、私も支えてもらいながら、自分の心と向き合ってきました。
そこで手探りする中で自分の適性にあった会社ともめぐり合えました。
いい意味で、利用できるものは何でも利用し、自分自身を成長させられる。それが札幌国際大学です。在学中取得したカウンセリング実務士や認定心理士の知識も社会で役立てたいです。
Tさん(人文学部 心理学科 臨床心理専攻 4年/内定先:北海道(社会福祉職))
児童福祉を学びたい初志貫徹しスタートラインに立てました
巷にあふれる悲しいニュースを聞くたびに、児童福祉に関心を持つようになりました。
心理学科では児童福祉施設を見学したり、少年院でのインターンシップに参加したり。小さな質問にも細かく答えてくださる心理学科の先生方に支えられ、学内外で児童福祉の実際をじっくり掘り下げられました。
道庁の試験に向けては対策講座を取り、3年次の冬から猛勉強しました。
面接についてもゼミの先生を中心に徹底的に受け答えを指導してもらえました。これからが本番です。
子どもたちのSOSを見逃さず、ひとりでも多くの子どもに手を差し伸べる活動をしていきます。

まとめ:臨床心理士への道は、大学での本物の学びから始まる

この記事では、札幌国際大学の視点から、臨床心理士の資格の本当の姿、公認心理師との違い、そして心理学を学ぶことの未来について解説してきました。
臨床心理士とは、単なる資格の名前ではありません。人の心という、答えのない複雑なものに真摯に寄り添い続ける、専門家としての生き方そのものです。その道は決して簡単ではありませんが、大学・大学院での6年間の学びは、あなたを専門家として、そして一人の人間として大きく成長させてくれる貴重な時間となるはずです。
もしあなたが、本気で臨床心理士を目指したいと思うなら、まずは大学で本物の心理学に触れてみてください。
札幌国際大学では、あなたの「誰かの力になりたい」という想いを、確かな専門知識と実践力に変えるための学びが待っています。

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