2025/10/15 大学より
人文学部国際教養学科 趙恵真准教授
韓国ドラマが大好きな人も、興味はあるがまだ視聴していないものの気になっている……という人も参加してくださいました。知っておくと韓国ドラマ(以降「韓ドラ」)が数倍楽しくなる!そんな講義の始まりです。
第1回目の講義では、色鮮やかな韓服(ハンボク)に身を包み、爽やかな笑顔で登場された趙先生は自称「韓ドラオタク」。写真の韓服は古式ゆかしい衣装なのだそうです。
学びと楽しさが融合した講義は確かに「韓ドラ」のありとあらゆる方面を切り取った知識とエピソードが満載。何より分かり易い!受講者もさらなる「韓ドラ」への鑑賞意欲が湧いたことでしょう。
先生自身も講義を行っていて「楽しかった!」そうです。
「韓国時代劇から読み解く」と題されたように、国の文化や生活様式、時代劇の登場人物の容姿(衣装や帽子、ヘアスタイル等)で身分や居住地域が分かることを基礎知識として教えてくださいました。
また、韓国時代劇ドラマにも大河ドラマのような正統派があり、対して軽めの物語、最近増えてきた幻想的・ファンタジー要素を含む物語など、ドラマの形式と変遷を知ることができました。さらに韓国の人だからこそ気が付くことができるエピソードとして、音楽の効果や、他のドラマの有名な場面を取り込み、真似ることで展開されたドラマの紹介、舞台裏や制作秘話も語られました。
韓国時代劇を順に追えばいくつもの国に分かれながら今がある韓国。史実に基づく時代劇だからこそ近年新たな歴史の事実が紐解かれ、最近の作品ほど史実がドラマに反映されていると、歴史好きのアンテナに触れる話題も披露されました。
受講後アンケートでは「あっという間に時間が過ぎた」という受講者が多数。皆さんから好評の声をいただきました。
第2回では現代の韓服で講師登壇!今時の若者のファッションだそうです。
まずは講師の最も愛するドラマの紹介と韓流ブームのきっかけとなった映画の話題を手始めに、韓国の人々とドラマの距離感(視聴率や再放送の頻度など)、撮影タブー、多種多様な現代韓ドラの種類、そして1950年以降の韓国の人々の姿へと話題が展開されました。
なかでも現代ドラマの一つ「おつかれさま」を中心に解説されていきました。日本でなぞらえるなら、戦後の復興と主人公の生きざまを描く物語と言えばおおよそ伝わるでしょうか。戦争の歴史を持たない国はありませんが、済州島(チェジュ島)を舞台に主人公を中心として生きる韓国の人々の日常を、戦後の時代背景と共に今に至る紆余曲折の道のりが描かれています。
韓国の人の心に触れる有名な詩が、印象的な場面を作り出していて観る者の胸を打ちます。済州島独自の風土と文化も相まって、時に笑いを含みつつ、しみじみとした情感溢れる物語のようで、さりげなく韓国の歩みを教えてくれました。
いくつかのドラマから韓国の家族の姿や風習・慣習が語られていきましたが、この糧は、受講者が現代の「韓ドラ」を鑑賞する上での理解に繋がっていくでしょう。
最後に真面目すぎる私たちに講師から挨拶を交わす際の知恵を授けられました。
韓国では「ご飯食べましたか?」と挨拶のように聞くことが日常だそうですが、正直に「食べていないです」と返してしまうと、聞いた人を心配させてしまうかもしれません。挨拶ととらえて「食べましたよ!」という対応が正解とのこと。
質疑応答では「韓ドラ」での「財閥」の描かれ方について質問があり、フィクションとリアルなところを映画「パラサイト 半地下の家族」を例に回答されるほか、いくつもの質問が講師に寄せられました。アンケートでも、受講者からの講師へのリピートは強く熱く、盛り上がりを感じた講座となりました。