2021/02/25 学部・学科

子育て支援と心理臨床

~地域に関わり、子どもと寄り添い、お互いを高め合う保育職と心理職の協働とは~

この写真は、昨年8月末の札幌国際大学学長室での一コマです。そこでの私達3人による対談の内容が、福村出版「子育て支援と心理臨床Vol20」に掲載されています。本誌の発刊は、3月1日ですが、本学心理学科・心理学研究科での取り組みが紹介されていますので、一足早くそのエッセンスをお伝えしたいと思います。

左から青木紀久代先生、平野良明短期大学部学長、佐々木淑子先生
左から青木紀久代先生、平野良明短期大学部学長、佐々木淑子先生

 対談のテーマは「心理学科で保育者養成をする意味を追求して-地域に関わり、子どもと寄り添い、お互いを高め合う保育者と臨床心理士の協働育成モデル」です。
 子育ては、誰もが関わるごく日常的なことですが、楽しいだけでは済まない苦労も難しさも抱えています。児童虐待を巡る事件が報道されるたびに、いじめで悩むお子さんや保護者が本学の心理相談室に来談されるたびに、幼児教育の中で気になる子どもというテーマがより着目されるようになる中で、心理学から何が提供できるかと問われているように思ってきました。
 2008年度に本学心理学科は、従来からの臨床心理学専攻と、新設された幼児教育者養成を目指す子ども心理専攻の2専攻で新たなスタートを切りました。両専攻は、それぞれのカリキュラム編成を組み独自の教育システムを持つのですが、時にはタッグを組み共に手を取る活動も続けています。地域の親子に向けた子育て支援としての「安心子育て応援倶楽部」、子育てに携わる専門職に向けた多職種合同のセミナーは、ほぼこの頃始まり10数年続いています。タイトルにあるように“地域に関わり、子どもと寄り添い、お互いを高め合う保育者と臨床心理士の協働”を続けてこられたのは、2008年~2018年まで心理学科の同僚として私たちと共に歩んで下さった平野良明先生なくてはできないことでした(2019年度より本学短期大学部学長)。そして、第1回の合同セミナーの講師として、その後も何度も本学にお越しくださり、本学の子育て支援&多職種連携のあり方に多くの示唆を下さり支えてくださったのが青木紀久代先生です(現・社会福祉法人真生会理事長、白百合心理社会福祉研究所所長)。私自身、「愛着障がい」等大学で学ぶ机上の理論を、いかに実践の場で勝負する様々な職種の方へわかりやすく伝えていくとよいかということを、このお二方から学んできたように思います。
 本誌掲載の対談の中では、このような地域支援活動を通して、本学心理学科学生の学びのプロセスや地域の専門家の協働のあり方が述べられています。最後の締めくくりの部分にそのエッセンスが凝縮されているように思いますので、覗いてみましょう。

青木:平野先生の、一人を育てながら隣の人を育てる。隣の人を育てながらみんなが育つという、すごく広がりのある教育観をお聞き出来て、今日は、とても私も気持ちを新たにしました。
私は臨床心理士ですが、保育愛も強いので特にそう思うのかもしれませんが、私たちがこうしてあげますよという近づき方では、なかなか受け入れてはもらえないですね。
平野:ただ、僕は、求める気持ちというか、現場にもっと力がほしいという、そういう思いだったのです。
青木:先生が最初に保育者に対しての信頼がものすごくあって、保育者を育てるために心理という助っ人を呼ぼうじゃないかと考えてくださったことが、コラボが始まったきっかけになっているんだなというのがよくわかりました。特別支援と心理臨床が違うというと、療育とかカウンセリングというふうになるんですけれども、先生はちょうどその間のことを心理臨床と呼んでくださっていて、そこがやっぱりこういう教育プログラムが出来あがってきたセンスの源流みたいなものかなと思いました。

平野:僕はその役割として、臨床心理士やそういう心理職の人たちがもっと保育の世界で学びの成果を発揮してもらいたいという、そういう思いや期待をずっと持っていて、だから、心理学科で保育者養成をするといった時も、臨床心理学専攻と子ども心理専攻といったことも、本学の特色として、付属幼稚園と協働で保育者養成と心理士養成をやると、それは質の高いというか、好ましい、社会のニーズに対応する保育者と心理士の養成、それを目指したいという思いの10年であり、今でも、そしてこれからも変わらないと思います。
青木:10年かけてみんなが分かってきたというか、心理士さんが、自然と保育現場とか、子育て現場に10年前よりも格段に多く出てくるようになりましたので、ちょうどその先駆的な養成をしてくださったといういい実践モデルをご紹介できましたし、未来に向けてのいいメッセージになると思います。
 

 「子育て支援と心理臨床」は、子育て支援に携わる人々の協働を目指し、心理臨床の立場から子育て支援の取り組みと可能性を発信しようという試みとして、2010年に創刊されました。本20号は、創刊10周年を記念とした特集号です。毎号、時世時節に応じた特集が組まれています。以下のような興味あるテーマも!

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