生涯学習センター

本取組の実施プロセス

(1) 特別支援教育と保育音楽療育

近年、幼稚園や保育所などの保育現場において、発達が気になる子どもやこれに悩む親の存在が注目されるようになってきました。地域の幼稚園や保育園の要 請は多様な対応のできる保育者であり、本学もこれに応える保育者養成を展開しています。学齢期の児童においては、特別支援教育の取組が徐々に進み成果をあ げつつありますが、保育の場においてはまだ各園の自己努力に任されています。そのような気になる子、あるいは障がいの疑いのある子に対する対応について は、これまでの保育者の基礎レベルだけでは十分にできない面があります。通常そのような子どもに対する対応は、保育の現場で実際に子どもを担任して初めて 問題意識を持つことになるようです。

本取組の中心となっている音楽療育は、保育に音楽を利用することで健常児はもちろん障がい児の療育としてより良い効果を期待する取組です。 親子 ワークショップの参加を通して学生は障がいのある、あるいは障がいの疑いのある子どもへの様々な対応の方法を学び、その親との関わりを通し異世代コミュニ ケーション能力を養います。専攻科の学生においては、学び得た専門的な学習を体現する場として、人間的成長を育み専門職としてさらなる実践力を高めること が可能な貴重な実習の場となっています。

(2)本取組のなりたち

本取組の柱である保育音楽療育の活動は1999年に北海道において結成された「北海道ミュージックムーブメントセラピー研究会(通称MMT)」が始まりで、月例会参加の保護者からの要望に応える形で研究活動の一環として生まれた取組です。

この活動は、障がい(自閉症・アスペルガー症候群・ダウン症・知的障害・ADHD・LD・広汎性発達障害など)のある子どもとその親を対象 とし て、各種楽器を用い、体を動かしたり、楽しく歌ったりしながら身体意識を形成し、知覚や社会性を育て「子どもも親もこころを解放・開放し、会場に集うすべ ての人と笑顔を共有する」という活動です。その兄弟姉妹や健常児の参加も歓迎し、保護者も付き添いの大人も一緒に活動に参加することを積極的に推奨してき ました。8年にわたる音楽療育ワークショップ活動は、保育現場に留まらず、施設や医療現場等においても高い評価と効果を得ています。

(3)本取組の発展

2002年には本学専攻科において、道内唯一の「保育音楽療育士」資格取得講座を開講し、すでに実績のあった「音楽療育ワークショップ」を 実習の 場として位置づけました。その後2004年には本学科1年の「ボランティア活動」(選択科目:1単位)の実習の場として教育課程に正式に位置づけられまし た。

「ボランティア活動」を受講する学生の成長が学内外において評価されたことにより、2007年には「ボランティア活動」の科目を中心としな がら関 連科目との連携をさらに深め、より多くの学生がこの活動に参加できるような体制を構築しました。さらに夏季・冬季休暇の間の開催要望に応え、本学付属幼稚 園が取り組んでいる行事「野外あそび」に参加することも計画されました。

毎回平均60名のボランティア学生がその都度提出したアンケートの結果は2005年8月「第64回日本教育学会」にて「保育者を目指す学生 のボラ ンティア活動の効果について」と題して研究発表をし、本取組の教育的意義を示しました。①音楽が心にひびくものである②コミュニケーションの一つとして音 楽がある③障がいへの偏見や不安がなくなっていった④子どもの素直でダイナミックな表現あそびに接して障がい児・者への見方が変わった、等々が参加学生の 変容のポイントとして挙げられます。

また、保護者のアンケート(27名)および懇談会における意見要望のまとめも2006年7月「北海道特別支援教育学会」で発表しました。論 文発 表、報告書、研究大会(札幌以外に函館と旭川でも開催)、学外講師も含めたセミナー・特別講演、研究発表、ビデオ制作など多くの取組があります。